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2011年 ビルボードJAPAN TOP10 邦楽ヒット曲を振り返る

2011年 ビルボードJAPAN TOP10 邦楽ヒット曲を振り返る

2011年は、日本にとって忘れることのできない激動の年となりました。3月11日に発生した東日本大震災は、社会に甚大な被害と深い悲しみをもたらしました。計画停電による節電生活、物資の不足、そして何より未来への不安が国民を覆いました。そんな中でも、「絆」という言葉が流行語大賞に選ばれたように、人と人との繋がりを再確認しようとする動きが加速。経済面では円高の影響が長引く一方で、年末には社会保障と税の一体改革に向けた議論が本格化するなど、復興と再生に向けて模索する1年でした。 音楽シーンにおいては、AKB48が社会現象とも呼べる圧倒的な存在感を示した年でした。震災直後から「誰かのために」プロジェクトを始動し、被災地訪問やチャリティー活動を行うなど、アイドルが単なるエンターテインメントを超えて精神的な支えとしての役割を果たす場面が多く見られました。また、ランキング上位には、ドラマ『マルモのおきて』の主題歌が家族層に爆発的にヒットし、子供から大人までが歌って踊れる楽曲として社会現象化するなど、メディアとの連動性が極めて高いヒットが目立ちました。一方で、レディー・ガガやアヴリル・ラヴィーンといった海外勢もチャートの常連として強さを見せ、洋邦の垣根を超えた音楽消費が行われていたのもこの年ならではの特徴といえます。 1位: Everyday、カチューシャ / AKB48 リリース年: 2011年 収録アルバム: 『ここに君がいる』 2011年の音楽チャートを語る上で避けて通れないのが、AKB48の圧倒的な躍進です。その頂点に立ったのがこの「Everyday、カチューシャ」です。イントロが流れた瞬間に心躍るような、王道の爽快感あふれるポップソングであり、夏の訪れを予感させる高揚感に満ちています。当時の日本は震災の影響で暗いムードが漂っていましたが、この楽曲が持つ圧倒的なポジティブパワーと、前田敦子を中心とした華やかなパフォーマンスは、多くのリスナーに束の間の希望と活力を与えました。キャッチーなサビのメロディラインは一度聴けば耳から離れない中毒性を持ち、当時開催されていた総選挙に向けた熱気も相まって、記録的なCDセールスを叩き出しました。今聴き返しても、当時の社会の空気を一気に塗り替えるようなエネルギーを感じさせる、まさに2011年を象徴するアンセムといえるでしょう。 YouTubeで「AKB48 Everyday、カチューシャ」を視聴する
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2011年 ビルボードTOP10 - 世界を熱狂させたあの名曲たち

2011年 ビルボードTOP10 - 世界を熱狂させたあの名曲たち

2011年は、世界情勢が大きく揺れ動いた激動の年でした。中東各地で民主化運動「アラブの春」が勃発し、欧州では深刻な債務危機が進行。日本においては東日本大震災が発生し、世界中に深い衝撃と悲しみが広がりました。一方、テクノロジーの面ではスティーブ・ジョブズの訃報が世界を駆け巡り、iPhoneをはじめとするスマートフォンの普及が個人のライフスタイルを完全に変え始めていました。SNSの利用が爆発的に増え、情報の拡散スピードが以前とは比較にならないほど高速化するなど、後のデジタル社会の原風景が急速に形成されていた時期でもあります。 音楽シーンにおいては、デジタルダウンロードとストリーミング黎明期の狭間で、ダンス・ポップとEDMが覇権を握り始めた重要な転換点でした。レディー・ガガらが築いたエレクトロ・ポップの潮流はさらに加速し、クラブ・サウンドがラジオのメインストリームを完全に支配しました。その一方で、アデルのように圧倒的な歌唱力で聴く者の感情を揺さぶるオーガニックなポップスも共存しており、多様性が保たれていたのも特徴です。SNSでのバイラルヒットがチャートを左右する現象が顕著になり始め、アーティストとファンの距離感が急速に縮まっていった音楽的な変革の年でもありました。 1位: ROLLING IN THE DEEP / Adele リリース年: 2010年 収録アルバム: 『21』 2011年の音楽シーンを象徴する一曲といえば、間違いなくアデルのこの楽曲でしょう。自身の失恋をモチーフに、力強く、かつソウルフルに歌い上げるこのナンバーは、当時の過剰なまでに加工されたエレクトロ・サウンドが溢れるチャートの中で、異様なほどの存在感を放っていました。ピアノのイントロから始まり、徐々に熱を帯びていくアレンジは、彼女の持つ圧倒的な歌声の魅力を最大限に引き出しています。アデル自身が作曲にも関わり、内面から絞り出された言葉とメロディは、世代や国境を超えて世界中のリスナーの心を掴みました。この曲が収録されたアルバム『21』は世界中で記録的なロングセラーとなり、デジタルの時代にあっても、生の感情を歌った音楽がどれほどの力を持つかを証明したのです。彼女の成功は、その後のシンガーソングライターたちにも大きな影響を与え、ポップミュージックのトレンドを大きく引き戻すきっかけとなりました。 YouTubeで「Adele ROLLING IN THE DEEP」を視聴する
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2012年 ビルボードJAPAN TOP10 邦楽ヒット曲を振り返る

2012年 ビルボードJAPAN TOP10 邦楽ヒット曲を振り返る

2012年の日本は、前年に発生した東日本大震災からの復興という重い課題を抱えながらも、少しずつ日常を取り戻そうとする空気感の中にありました。政治面では、第46回衆議院議員総選挙が行われ、自民党が政権を奪還した年として記憶されています。社会現象としては、東京スカイツリーが開業し、新たな観光名所として連日多くの人で賑わいました。また、スマートフォンが急速に普及し、LINEなどの無料通話アプリが若者を中心にライフスタイルを大きく変え始めた時期でもあります。「ワイルドだろぉ」というフレーズが流行語大賞に選ばれるなど、お笑い芸人のブレイクも話題となり、停滞感を払拭しようとするエネルギーが社会全体に漂っていたのがこの2012年でした。 音楽シーンにおいては、アイドルグループの圧倒的な強さが際立つ一年となりました。特にAKB48と嵐の二強時代は最高潮に達しており、CDセールスが音楽ヒットの絶対的な指標であったこの時期、ファンが競ってCDを複数枚購入する「推し活」の熱量がそのままチャートに反映されていました。デジタル配信よりもフィジカル(CD)が依然として音楽市場の主役であり、握手会イベントやドームツアーといった、ファンとアーティストの距離を縮める戦略が音楽産業のビジネスモデルとして確立されました。また、SNSの普及により洋楽アーティストがSNS発で世界的ヒットを飛ばすなど、音楽の楽しみ方がレコード店からネット上へと徐々にシフトし始めた、大きな転換点とも言える重要な一年でした。 1位: 真夏のSounds good! / AKB48 リリース年: 2012年 収録アルバム: 『1830m』 この曲は、AKB48の夏の定番とも言える爽快感溢れるサマーソングです。楽曲の持つ軽快なメロディと、当時のメンバーたちが纏っていた青春のエネルギーが完璧にシンクロし、大ヒットを記録しました。センターを務めた前田敦子にとって、卒業を控えた最後の選抜総選挙対象シングルとなったことでも非常に大きな意味を持っています。ミュージックビデオでは、若手メンバーたちが眩しい日差しの中で踊る姿が印象的で、当時のAKB48が持つ勢いと、国民的アイドルとしての揺るぎないポジションを象徴する作品となりました。疾走感のあるサウンドは、聴く者に「あの夏」を想起させる力を持っており、現在でも夏のプレイリストには欠かせない一曲として愛され続けています。 YouTubeで「AKB48 真夏のSounds good!」を視聴する
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2012年を彩った洋楽ヒット曲TOP10を振り返る

2012年を彩った洋楽ヒット曲TOP10を振り返る

2012年は、世界が大きな変化の渦中にあった年でした。アメリカではバラク・オバマ大統領がミット・ロムニーを破り再選を果たし、ロンドンオリンピックでは連日の熱戦が世界中を釘付けにしました。また、マヤ文明の暦に基づいた「2012年人類滅亡説」がインターネットを中心に大きな話題となり、社会不安と娯楽が奇妙に混ざり合う独特の空気が漂っていました。日本では東日本大震災からの復興に向けた歩みが続く中、東京スカイツリーが開業するなど、希望を見出そうとする動きも活発化していました。スマートフォンが本格的に普及し、誰もがSNSを通じて情報を共有する現代型のメディア環境が定着し始めた、時代の転換点とも言える年でした。 音楽シーンにおいても、デジタル化とSNSによる拡散力がチャートを支配し始めた決定的な年となりました。GotyeやCarly Rae Jepsenのような、インターネットを介して突如として世界的なスターダムに駆け上がるアーティストが登場し、従来のプロモーション手法の常識を覆しました。ジャンルとしては、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)がメインストリームを完全に席巻し、Calvin HarrisやDavid Guettaらが手掛けるトラックがポップスを塗り替えていく現象が加速。一方で、One Directionのようなボーイズグループが再興を見せ、若年層の熱狂的な支持を集めるなど、ダンスビートとキャッチーなメロディが共存する、非常にエネルギッシュでカラフルな時代背景が音楽に反映されていました。 1位: SOMEBODY THAT I USED TO KNOW / Gotye Featuring Kimbra リリース年: 2011年 収録アルバム: 『Making Mirrors』 ベルギー生まれオーストラリア育ちのマルチ・インストゥルメンタリスト、ゴティエによる本作は、2012年を象徴する圧倒的なアンセムとなりました。80年代のポップスを彷彿とさせる哀愁漂うメロディラインと、ミニマルなパーカッション、そしてキムブラの参加による男女の別れを描いた切ない物語が、リスナーの胸を強く打ちました。この曲の凄まじさは、YouTubeでのミュージックビデオの再生回数が爆発的に伸びたことにあります。飾り気のないシンプルな映像表現と、一度聴いたら忘れられない中毒性の高い旋律が、SNSを通じて世界中に拡散されました。グラミー賞でも最優秀レコード賞と最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞し、独立独歩のアーティストが世界を制するという、2010年代初頭ならではの痛快な成功事例となりました。 YouTubeで「Gotye Featuring Kimbra SOMEBODY THAT I USED TO KNOW」を視聴する
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2013年 ビルボードJAPAN TOP10 邦楽ヒット曲を振り返る

2013年 ビルボードJAPAN TOP10 邦楽ヒット曲を振り返る

2013年の日本は、アベノミクスによる経済政策の始動が話題となり、株価の上昇や企業の業績回復が期待された明るいムードが漂う一方で、社会的なトピックも尽きない一年でした。流行語大賞には「倍返し」「今でしょ!」「じぇじぇじぇ」「お・も・て・な・し」の4つが選ばれるなど、ドラマやメディアの影響力が非常に強い年でもありました。また、富士山が世界文化遺産に登録されたことは大きなニュースとなり、日本全体が日本文化の再評価や、東京五輪招致成功による高揚感に包まれていました。スマートフォンが急速に普及し、ソーシャルメディアを通じて個々人が発信する力が強まったことで、情報の拡散スピードが劇的に変化した時代でもあります。 音楽シーンにおいては、CDの売上が依然として大きな影響力を持つ中で、AKB48を筆頭としたアイドルグループがチャートを独占する状況が続いていました。一方で、デジタルネイティブ世代の台頭により、インターネット経由で音楽に触れる機会も急増し、きゃりーぱみゅぱみゅのように、ポップで中毒性のある楽曲と視覚的な世界観が海外でも評価されるといった新しいトレンドが定着し始めました。また、ベテランアーティストのサザンオールスターズが活動を再開したことはファンを歓喜させ、変わらぬ音楽的クオリティと影響力の大きさを見せつけました。テレビドラマや映画とのタイアップ曲がチャートの常連であり、多くの人々の記憶に刻まれるヒット曲が多様な形で生まれた一年だったと言えます。 1位: 恋するフォーチュンクッキー / AKB48 リリース年: 2013年 収録アルバム: 『次の足跡』 2013年を代表する楽曲として、日本中の老若男女を巻き込んだ社会現象となったのがこの曲です。従来のAKB48の楽曲のイメージである激しいダンスや複雑なメロディとは一線を画し、ディスコ調でファンキーなサウンドと、誰もが真似しやすい振り付けが大きな特徴です。指原莉乃がセンターを務め、その親しみやすさが楽曲のコンセプトに見事にハマりました。企業や自治体、一般ファンが独自の動画を制作して投稿する「踊ってみた」文化が爆発的に広まり、YouTubeでの再生回数も記録的な数字を叩き出しました。アイドルファン以外にも浸透したこの楽曲は、まさに「国民的ヒット曲」の定義を体現する存在であり、聴くだけで自然と体が動いてしまうポジティブなパワーに満ち溢れています。時代を象徴する明るいアンセムとして、今なお愛され続けています。 YouTubeで「AKB48 恋するフォーチュンクッキー」を視聴する
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2013年 ビルボード年間チャートTOP10を振り返る

2013年 ビルボード年間チャートTOP10を振り返る

2013年は、世界が激動の渦中にあった年でした。米国ではバラク・オバマ大統領の2期目がスタートし、スノーデン事件による監視社会への懸念が拡大しました。一方、経済面では世界的な景気回復の兆しが見え始め、スマートフォンやSNSの普及が社会のインフラとして完全に定着した時期でもあります。日本ではアベノミクスが始動し、2020年の東京五輪招致が決定するなど、祝祭ムードが漂う一方で、各地で異常気象が相次ぐなど、気候変動への危機感が日増しに高まっていました。AppleがiPhone 5sを発表し、指紋認証機能が搭載されたのもこの年で、テクノロジーが人々の生活をより身近なものへと変容させていく転換点でした。 音楽シーンにおいても、デジタル化の波は完全に不可逆なものとなりました。ストリーミングサービスが台頭し始め、バイラルヒットの重要性がかつてないほど高まった年といえます。「ハーレム・シェイク」がYouTube発の現象として爆発的な拡散を見せ、ビルボードの集計ルールにストリーミングが組み込まれたことは音楽業界の大きな節目でした。音楽性としては、エレクトロ・ポップの飽和から脱却し、ファンクやR&B、そしてヒップホップのエッセンスを再構築する動きが加速しました。インディペンデントな手法で成功を収めたマックルモア&ライアン・ルイスの快進撃は、既存のメジャーレーベル一強時代に対する挑戦状とも言える衝撃を業界に与えました。 1位: THRIFT SHOP / Macklemore & Ryan Lewis Featuring Wanz リリース年: 2012年 収録アルバム: 『The Heist』 2013年の音楽シーンを象徴する最大のニュースは、マックルモア&ライアン・ルイスによるこの歴史的ヒットでしょう。当時、メジャーレーベルとの契約を持たないインディペンデントのアーティストが、ビルボード年間1位を獲得するのは極めて異例のことでした。サックスの軽快なリフと、「古着屋で安物を買う」という極めて庶民的かつユーモラスなリリックが、当時の景気回復期における節約志向とも重なり、爆発的な共感を呼びました。彼らは過度な贅沢を誇示する従来のヒップホップのスタイルを皮肉りつつ、あくまで陽気なパーティー・アンセムとして提示してみせました。この成功は、音楽業界において「メジャーレーベルのバックアップがなくても、SNSと確かな戦略があれば頂点に立てる」という新しいロールモデルを確立しました。Wanzの渋いヴォーカルがフックとして機能しており、その中毒性の高さも特筆すべき点です。 YouTubeで「Macklemore & Ryan Lewis THRIFT SHOP」を視聴する
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2014年ビルボード年間TOP10を振り返る - 世界を熱狂させた洋楽ヒット曲

2014年ビルボード年間TOP10を振り返る - 世界を熱狂させた洋楽ヒット曲

2014年は、世界的に大きな地殻変動の予兆が感じられた年でした。政治面ではクリミア危機が勃発し、国際情勢の緊張が高まる一方で、テクノロジーの進化は加速の一途を辿っていました。AppleがBeatsを買収し、定額制音楽ストリーミングサービスが一般層へ浸透し始めたのもこの頃です。また、日本では「壁ドン」が流行語大賞に選ばれるなど、SNSを通じたコミュニケーションが若者文化の中心となり、何気ない日常の切り取りがトレンドを生む社会へと変貌を遂げていました。経済的にはアベノミクスの影響下で株価が上昇基調にありましたが、消費税増税による駆け込み需要と反動減が家計に影を落とすなど、希望と不安が混在した時代でした。 音楽シーンにおいては、ジャンルの境界線が極めて曖昧になった年と言えます。EDMの爆発的なブームを経て、ポップミュージックはよりハイブリッドな形へと進化しました。ヒップホップとポップの融合は日常化し、R&Bもモダンなエレクトロサウンドを取り入れることで、ラジオフレンドリーな質感を獲得しました。また、YouTubeなどの動画プラットフォームがチャート成績に直結する時代となり、「Happy」に代表されるような、聴覚だけでなく視覚的なバイラル効果を生む楽曲が覇権を握りました。Sam Smithのようなソウルフルな歌声を持つ新人シンガーが台頭し、EDM一辺倒だったダンスミュージックにも、より人間味のあるエモーショナルな揺らぎが回帰し始めた重要な転換点でもあります。 1位: HAPPY / Pharrell Williams リリース年: 2013年 収録アルバム: 『G I R L』 2014年を象徴するアンセムといえば、迷わずこの曲が挙げられるでしょう。映画『怪盗グルーのミニオン危機一発』のサウンドトラックとして発表されたこの楽曲は、シンプルでありながら抗いがたい中毒性を持つモータウン調のハッピー・ソウル・ナンバーです。ファレル・ウィリアムスの軽快なボーカルと、誰もが手拍子したくなるような陽気なリズムは、国境や年齢、文化の壁をいとも簡単に飛び越えていきました。 特筆すべきは、24時間にわたるミュージックビデオの試みや、世界中のファンが独自に制作した「Happy」動画がネット上に溢れたことです。音楽が個人の所有物から「共有される体験」へと完全にシフトしたことを証明した楽曲であり、どんよりとしたニュースが多かったこの年に、世界中で人々が笑顔になるための「心の特効薬」として機能しました。ファレルのソングライターとしての才能と、時代を捉えるセンスが完璧に融合した金字塔的なヒット曲です。 YouTubeで「Pharrell Williams HAPPY」を視聴する
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2015年 ビルボード TOP10 洋楽ヒット曲を振り返る

2015年 ビルボード TOP10 洋楽ヒット曲を振り返る

2015年は、世界的な地政学の変化とテクノロジーの進化が交差する激動の年でした。ヨーロッパではシリア難民危機が深刻化し、多くの国々が対応に追われる中、パリでは大規模な同時多発テロ事件が発生し、世界中に衝撃を与えました。経済面では中国経済の減速懸念が市場を揺らし、一方で国連では「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択され、気候変動対策の枠組みであるパリ協定が結ばれるなど、未来への責任が問われる転換点となりました。また、日本では「マイナンバー制度」の導入が始まり、Apple Watchなどのウェアラブルデバイスが登場するなど、デジタル化が日常生活の隅々にまで浸透し始めた年でもありました。 音楽シーンにおいては、ストリーミングサービスが本格的に覇権を握り始めた重要な転換期でした。SpotifyやApple Musicなどのプラットフォームが定着し、物理的なCD販売から「聴き放題」への移行が加速しました。音楽ジャンルとしては、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)のブームが成熟し、ポップスと高度に融合したダンス・チューンがチャートを支配しました。一方で、ブルーノ・マーズのように70年代のファンクやソウルを現代的に解釈するリバイバルサウンドが爆発的な支持を集め、ザ・ウィークエンドのようなダークで官能的なR&Bがメインストリームに躍り出たことは、多様性がかつてないほど豊かになったことを証明していました。 あの頃、街を歩けばどこからか聴こえてくるファンキーなブラスの音色や、映画の感動と共に記憶に焼き付いた切ないバラードに、誰もが心を揺さぶられたのではないでしょうか。SNSを通じて爆発的に拡散される楽曲、ネット発の現象からスターダムを駆け上がる無名の新人など、インターネットが音楽の楽しみ方を根本から変えたことを実感した一年でした。本稿では、当時の記憶を鮮やかに蘇らせる、2015年のビルボード年間チャートTOP10を振り返ります。あの熱狂、あの歌声は、今聴いても色褪せることがありません。 1位: UPTOWN FUNK! / Mark Ronson Featuring Bruno Mars リリース年: 2014年 収録アルバム: 『Uptown Special』 2015年の音楽シーンを象徴するアンセムといえば、迷わずこの曲が挙げられます。マーク・ロンソンが80年代のファンクやソウルへの敬意を込めてプロデュースし、ブルーノ・マーズが最高にソウルフルなヴォーカルで彩ったこの楽曲は、リリースされるやいなや世界中で爆発的なヒットを記録しました。時代を超越したキャッチーなブラスサウンドとベースラインは、子供から大人まで思わず踊り出してしまう中毒性を持っていました。全米チャートで14週連続1位という驚異的な記録を打ち立てた背景には、この曲が持つ純粋な「楽しさ」と、高い音楽的クオリティが完璧に融合していたことがあります。ブルーノ・マーズのエンターテイナーとしての才能が極限まで発揮され、その後の彼のキャリアを決定づけるマスターピースとなりました。 YouTubeで「Mark Ronson Bruno Mars UPTOWN FUNK!」を視聴する
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2016年ビルボード年間チャートを席巻した珠玉の洋楽ヒットTOP10

2016年ビルボード年間チャートを席巻した珠玉の洋楽ヒットTOP10

2016年は世界的に大きな変動があった年として記憶されています。政治的にはイギリスのEU離脱(ブレグジット)を問う国民投票や、アメリカ大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利など、ポピュリズムの台頭と分断が社会のキーワードとなりました。一方で、ポケモンGOが世界的な社会現象となり、スマートフォンを通じた現実とデジタルの融合がかつてないスピードで加速したのもこの年です。経済的には新興国の成長鈍化への懸念がありつつも、ネットフリックス等のサブスクリプションサービスの普及が、人々のエンターテインメント体験のあり方を根本から変えようとしていました。 音楽シーンにおいても、2016年は「ストリーミング時代」の決定的な転換点となりました。CDの売上が減少を続ける一方で、SpotifyやApple Musicといったストリーミング再生数がチャートに大きく反映されるようになり、リスナーの嗜好がよりリアルタイムに可視化されるようになったのです。ジャンルとしては、ドレイクに代表されるトロピカル・ハウスやダンスホール・レゲエを取り入れたポップスが爆発的な人気を博しました。また、ザ・チェインスモーカーズがEDMを軸にしつつも、よりポップでキャッチーなエレクトロ・サウンドで頂点に立つなど、ダンスミュージックがメインストリームと完全に融合した黄金時代でもありました。 1位: LOVE YOURSELF / Justin Bieber リリース年: 2015年 収録アルバム: 『Purpose』 2015年にリリースされたアルバム『Purpose』からのシングルカットである本作は、2016年のビルボード年間チャートを制し、ジャスティン・ビーバーの完全なる復活と、アーティストとしての成熟を世界に見せつけました。エド・シーランとの共作であるこの楽曲は、派手なエレクトロニック・サウンドを削ぎ落とし、アコースティック・ギターとシンプルなヴォーカル・メロディだけで構築されています。かつてのティーン・アイドルとしてのイメージを完全に払拭し、洗練されたシンガー・ソングライターとしての側面を強調した戦略は、多くの大人層のファンをも魅了しました。失恋という普遍的なテーマを、毒気を含みつつもどこか穏やかな歌声で表現するスタイルは、現代のポップスが到達したシンプルイズベストの究極形とも言えます。ラジオフレンドリーでありながら、聴く者の耳に深く残るフックは、ストリーミング時代において何度でもリピートしたくなる中毒性を持っていました。 YouTubeで「Justin Bieber LOVE YOURSELF」を視聴する
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2017年ビルボード年間チャートTOP10を振り返る:黄金期の幕開けとストリーミング時代の到来

2017年ビルボード年間チャートTOP10を振り返る:黄金期の幕開けとストリーミング時代の到来

2017年は、世界的に大きな政治的揺らぎと社会の変化を経験した年でした。アメリカではドナルド・トランプ大統領が就任し、ホワイトハウスの政治スタイルが一変、SNSを通じたダイレクトな発信が世論を大きく左右する時代となりました。また、世界各地でポピュリズムの台頭やテロ事件が続き、不安が高まる一方で、#MeToo運動が本格化し、ハリウッドから始まった女性の権利向上の波が全世界へと広がっていきました。経済面ではビットコインなどの暗号資産が急騰し、テクノロジーが社会のあり方を根本から変える予兆が至る所で見られた一年でもありました。 音楽シーンにおいては、ストリーミングサービスの普及が完全にメインストリームの消費形態として定着した年です。SpotifyやApple Musicでの再生回数がチャートに直結するようになり、アルバム単位よりもシングルヒットの重要性がかつてないほど高まりました。ジャンル面では、ラテン・ミュージックの爆発的な世界進出と、ヒップホップの完全な支配が顕著でした。これまで英語圏が中心だったチャートにスペイン語の楽曲が食い込み、カルチャーの境界線が溶解。サウンド面では、トロピカル・ハウスの余韻と、よりミニマルでトラップの要素を取り入れたプロダクションが主流となり、ポップミュージックの形が大きく書き換えられた転換点となりました。 1位: SHAPE OF YOU / Ed Sheeran リリース年: 2017年 収録アルバム: 『÷ (Divide)』 2017年を象徴するこの楽曲は、エド・シーランのキャリアにおいても最も成功したマイルストーンとなりました。彼自身の代名詞であるアコースティック・ギターの弾き語りスタイルをベースにしつつも、ダンスホールやトロピカル・ハウスのリズムを大胆に取り入れたプロダクションが特徴です。シンプルでありながら中毒性の高いループトラックと、誰もが共感できる愛の物語が、当時のラジオやストリーミングプラットフォームで圧倒的な回転数を記録しました。この曲は、単なるヒットソングを超え、ポップミュージックの「黄金律」を体現したような存在感があります。彼が持つシンガーソングライターとしての優れたメロディセンスと、現代的なサウンドメイクが完璧に融合したことで、あらゆる世代を巻き込む歴史的な大ヒット曲となりました。 YouTubeで「Ed Sheeran Shape of You」を視聴する